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日本経済新聞電子版「普及期迎える機器間通信、『新たなグーグル』誕生へ」でアプリックスのM2M関連事業について当社代表のコメントとともに報道

日本経済新聞電子版の特集記事において、「M2M」が、再び脚光を浴びており、実現に必要な技術が汎用化し、市場の大幅な成長を期待できる状況になってきていること、M2Mは人に関わる情報だけでなく、物に関わる膨大な情報を集めることを可能にすること、さらにそれを適切に活用する者が勝者になること、M2Mで情報が集まる時代には、小売や物流、医療、農業、建築・土木などの業界ごとに「新たなグーグル」の誕生が期待されていることなどが報じられた。

本記事では、M2Mによって機器を販売した後にも顧客との接点ができ、販売後の新たなビジネスにつなげられる点をアプリックスのM2M関連事業を例に、当社代表の郡山のコメントとともに報道されました。

■日本経済新聞電子版での掲載記事

普及期迎える機器間通信、「新たなグーグル」誕生へ

M2Mという言葉が登場したのは2000年ごろのことだ。それから十数年、徐々に活用事例は増えたものの、急激に拡大したとまでは言えない黎明期が続いてきた。期待が大きい分、現状で満足している人は少ない。「M2Mはまだ『本当に立ち上がるかどうか』という初期段階にあるといえる」(東京大学 先端科学技術研究センター 教授で新世代M2Mコンソーシアム 会長の森川博之氏)。

では、いつになったら導入が本格化するのか。ここにきて、乗り越えなければならない課題が明確になってきた。移動通信網の発達や各種通信技術の低コスト化が進んだことで、機器をネットワークに接続するまでの敷居は下がっている。しかし、それだけでは十分でない。

「M2Mの本当の価値は、機器を販売した後の接点を作り、販売後の新たなビジネスにつなげられる点にある」(アプリックスIPホールディングス 代表取締役の郡山龍氏)。求められるのは、業界ごとにM2Mの価値を「再発見」することだ。

(中略)

■実は少ない成功事例
しかし、このままの状態でM2Mの本格期が到来すると考えるのは、いささか楽観的だろう。

「先行してM2Mの利用が進んだ分野は、もともとの機器の初期費用や運用費用が高いものが多い」(野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主席コンサルタントの桑津浩太郎氏)。人件費削減などの導入効果が分かりやすく、追加で掛かるコストを吸収しやすい用途しかM2Mの成功例が出ていないのだ。

そうした状況を打破するために求められるのが、(1)機器をネットワークに接続して初めて生み出せる価値を、業界ごとに発見すること、(2)その価値を生み出すために掛かるM2Mのコストを回収する方法を工夫すること、そして(3)M2Mに掛かるコストを削減するための努力を継続すること――の3点である。M2Mシステムの利用者や提供者が(1)と(2)をしっかり検討するのと併せて、提供者が(3)を永続的に行うことになる。それぞれについて具体的に見ていこう。

■省人化からデータ分析へ
(1)の“価値の発見”は、機器をネットワークに接続してどんなデータをやりとりすれば良いかを、業界ごとにしっかり考える必要があるということだ。「1968年にPLC(programmable logic controller)が開発されて工場のオートメーション化が始まったのと同様の変化を、M2Mによって色々な産業分野で起こせる可能性がある。人手に頼っていて生産性が低い分野は、まだまだ数多く残っている」(東大の森川氏)。

M2Mの効果として分かりやすいのは、「省人化」「履歴の記録」「対応の迅速化」だろう。例えば月1回だったデータ収集の頻度が1日1回や1時間1回になり、そのデータもより詳細なものになれば、予防保全や物流計画立案などに生かせる。

建設機械におけるM2Mの先行例であり、M2M応用の手本として語られることが多いコマツの「KOMTRAX」では、保守情報の管理や通知、稼働状況や所在地の履歴データの収集といった機能を提供している。人の派遣を不要にしたり、作業の工数を減らしたりすることで、機器の保守を担当する企業や機器を利用する企業にコスト削減効果をもたらしているわけだ。

そして、集めたデータを分析し、製品開発や異常検知などに使おうとする動きも出つつある。いわゆる「ビッグデータ」の活用だ。Googleや米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)といったインターネット企業が、大量データを蓄積することの価値を既に証明している。

M2Mでは、インターネット上のコンテンツや人の行動に関するデータだけではなく、物理世界の多様なデータも収集・分析できるようになる。病気の予防や農業の合理化、インフラの効率的な保全などの用途が想定されている。

(中略)

■機器ビジネスが変わる
(2)の“コスト回収手段の工夫”は、M2Mによってビジネスモデルを変えることを意味する。機器を販売した後の顧客との接点としてM2Mを活用し、製品のライフサイクル全体を通してM2Mのコストを回収する。

「インターネットの有料サービスが難しいのと同様に、M2Mのための費用を直接払ってもらうのは難しいだろう。何かに支払ったお金からM2Mの費用を充当するのが望ましい」(アプリックスの郡山氏)。Amazon.comが電子書籍端末「Kindle」で、移動通信網での通信料金を無料にしたような工夫が必要になる。M2Mのサービスを提供する企業と機器メーカーがアフターサービスの売上をシェアしたり、金融機関と共同で新しい支払い形態を用意したりといった、既存の枠組みにとらわれない発想を採り入れる。

M2Mの利用には、どうしても余計なコストが掛かってしまう。大きく分けると、(a)ハードウエアとして通信モジュールを組み込んできちんと動作させるための費用、(b)機器がサーバーなどと通信して必要なデータを収集し、管理・分析するシステムを構築する費用、(c)移動通信網などを利用するための通信料やシステムの保守を行うための保守料などの運用費用――の三つだ。

こうした追加コストを上回る、コストの削減または売り上げ増加の効果が得られるようにM2Mシステムを設計できることが望ましい。そのとき難しいのは、コスト削減や売り上げ増加とM2Mの因果関係が明確でない場合が多いことだ。だからこそ、使い手に対して余計なコストが掛からないように見せる工夫が重要になる。

■誰かが納得して支払う形に
参考になる例の一つがアプリックスだ。同社は、Bluetooth Smart(Bluetooth Low Energy)を使う「Beacon(ビーコン:定期的にIDなどの固定文字列を送信する仕組み)」信号の送信モジュールの提供と、Beaconの信号を受け取って動作するスマホ向けアプリの開発を請け負っている。

「Beaconモジュールを機器に組み込んで、保守部品の交換時期が近づいたらBeacon信号を出す設定にした。その信号を受け取って駆動したスマホアプリでは、交換すべき保守部品を購入可能にしている。そこで買ってもらった部品の売上の一部を、システム構築費用として受け取るようにした」(同社の郡山氏)。

(中略)

■その業界に主導者はいるか
普及への方向性が見えてきたM2Mだが、最大の課題が残っている。業界によっては、主導者が見つかっていないことだ。

新しい価値やビジネスモデルの創出に必要なのは、医療や農業、土木・建築、流通といった個別の業界に対する深い理解だ。M2Mシステムの要素技術を「M2Mシステムに使える」と喧伝するばかりの企業とのかい離は大きい。その業界特有の習慣や製品特性などを考慮してM2Mの応用形態をデザインする企業の登場が期待されている。

その役割を果たすのは、機器メーカーでも、システムインテグレーターでも、機器を導入する個別の業界の企業でも、保険会社やリース会社のような金融系企業でもいい。各業界の根幹となるデータを扱うM2Mシステムの企画・構築に動きだした企業こそが、M2M時代の勝者になるだろう。

(日本経済新聞電子版より抜粋)

本件に関する日本経済新聞電子版の記事

2014年2月24日
アプリックスIPホールディングス・グループ広報担当

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