近接域特化型Beacon MB004 Atについて

近接域特化型Beacon MB004 Atは、新規に開発したアンテナの方式により送信する電波の受信可能距離を約10cmから2m程度に抑えることを可能としたBeaconです。ここでは、MB004 Atの送信電波の受信可能距離について概説します。

理想環境における送信電波の受信可能距離

理想的な環境での受信可能範囲を確認するため、電波暗室内で測定を行いました。

送信出力を最小(-20dBm)にした場合の受信可能範囲を示したもの

(a)は電波暗室内で専用の測定器を用いて測定した受信可能範囲です。信号とノイズを分離可能な距離の上限として、約40cmという値が得られています。これを超えるとノイズに埋もれて信号が抽出できないため、原理的に受信可能な距離の限界と言えます。
(b)は同じく電波暗室内でiPhone 5sを用いてBluetooth® Low Energyのadvertiseを検出可能な距離の上限を調べた参考例です。この測定では約35cmまで受信可能でした。
(c)は(b)と同じ条件でiOS Core Location FrameworkのlocationManger:didEnterRegionが通知される距離を調べた参考例です。この測定では約15cmで通知を受けることを確認しました。

最小送信出力時の受信可能範囲
- 測定対象:MB004 At
- 送信出力:-20dBm
- 設置場所:電波暗室内

右図は送信出力を最大(0dBm)にして同様の測定を行ったもの

(a)が約3m、(b)が約2m、(c)が約70cmという結果が得られています。

最大送信出力時の受信可能範囲
- 測定対象:MB004 At
- 送信出力:0dBm
- 設置場所:電波暗室内

実際の設置環境における送信電波の受信可能距離

ここまで、電波暗室内での特性を示しましたが、実際の設置環境においては受信可能範囲は周囲の物体による反射・吸収等の影響を受けます。
以下に、実際の設置環境を模擬した例を示します。いずれも、上述の(c)に相当するlocationManger:didEnterRegionの通知範囲です。

送信出力を最小(-20dBm)にして高さ1mの商品棚に設置した場合の受信範囲の例

図は上から見た断面で示していますが、Beaconから半径約15cmの半球内で受信しており、目的の商品にかざす動作で商品説明を表示するような利用方法に適しています。

最小送信出力時の受信可能範囲
- 測定対象:MB004 At
- 送信出力:-20dBm
- 設置場所:商品棚高さ1m

送信出力を最小(-20dBm)にして高さ1mの商品棚に設置した場合の受信範囲の例

受信範囲は商品棚の例とほぼ同様です。レジ横でのポイント付与などの利用方法に適しています。

最小送信出力時の受信可能範囲
- 測定対象:MB004 At
- 送信出力:-20dBm
- 設置場所:机上

送信出力を最大(0dBm)にして壁際に設置した場合の受信範囲の例

Beacon正面方向で反射波の影響が顕著で、約1.3mまで受信可能となっています。比較的大きな展示物の前に立った人に対して情報提示するような利用方法に適しています。

最大送信出力時の受信可能範囲
- 測定対象:MB004 At
- 送信出力:0dBm
- 設置場所:壁面高さ1m

このように、実際の設置環境でのMB004 At送信電波の受信可能距離は典型的には約10cmから2m程度となります。ただし、建物の材質や遮蔽物の有無によってはこの範囲を超えることもあり得ます。