Beaconの受信可能距離について

受信可能距離と周囲環境の影響

Beaconから最大何mの距離でスマートフォン上のアプリケーションがBeaconに反応するか、という点について、非常に大まかな目安として、端末を手に持った状態で50~100m程度、鞄やポケットの中にある場合は30m前後ということができます。
しかし、この距離には多数の要因が関連します。

    1.Beaconの送信出力、アンテナのゲイン、放射パターン
    2.受信側スマートフォンの感度、アンテナの向き等
    3.スマートフォンOS内の処理(Bluetoothスタックの振る舞い他)
    4.周囲環境(建材、人体等)による反射・吸収・回折

上記のうち、1~3については条件を揃えての測定が可能です。しかしながら、4の影響が大きいため、ある条件下での測定結果から実際のユースケースでどうなるかを予測するのは困難であることをご理解ください。
周囲環境の影響に関して、当社で行ったシミュレーションを下に示します。

空っぽの部屋の壁際にBeaconを置いた場合に、反射波による干渉で場所毎のRSSIが相対的にどう変化するかを計算したものです。Beaconからの距離が一定でも方向によってRSSIに強弱が出ることがわかります。後方の壁と天井、床の3面からの一次反射のみでこの結果ですので、実際の設置環境ではさらに複雑に変化することは容易に想像できます。
設置環境を変えて実験したところ、オフィス内などでは高い位置に設置したBeaconが100m以上先から受信できる場合もあり、また、展示会などの人混みの多い場所では低い位置に設置したBeaconが人の列に阻まれ5mの地点でも受信できないケースもありました。

また、上記3に関連して、スマートフォンの機種によっては距離が十分近くても領域観測の通知が数分から十数分かかる場合があることを確認しています。また、アプリケーションが期待するのが、領域への進入を検知することなのか、ImmediateもしくはNearの状態になったことを判断することなのか、連続的に状態を取得することなのか、によっても有効な動作を行える距離範囲が変わってきます。