Beaconを使った近距離測位の特性

Beaconを使った近距離測位の特性について、当社で行った検証を紹介します。

距離による電波強度と揺らぎ

Beaconによる近距離測位は、Beaconから送信された電波が距離の二乗に反比例して減衰する性質を利用して行います。

距離によるBeacon電波強度の測定値の揺らぎを測定したサンプルデータの一部を左図に示します。1m程度までは電波強度は距離が遠くなるに従い距離の二乗に反比例して減衰していますが、1m以遠では電波強度の揺らぎが大きくなっていることが見て取れます。この揺らぎの要因の一つとして電波の干渉が考えられ、そのモデルは中央の図のように表すことができます(この例は床からの反射を想定したものです)。干渉モデルを実測値に重ねた右図では、この揺らぎがある程度は干渉で説明できることが見て取れます。

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また、干渉波以外にも揺らぎを引き起こす様々な要因が考えられます。空間的な要因としては、反射・吸収・回折が壁面や床・天井・商品棚・人体等で生じることで、複雑な電波強度分布となり得ると考えられます。また、実際に測位を行う時のことを考えると計測側での時間応答性にも配慮することが必要で、1回の計測ではバラつきが大きくなる傾向や、メートル単位での精度を得ようとする間に対象から数メートル移動してしまうといったケースへの対応を考慮する必要があります。

近接度の判定

Beaconからの距離に対する電波強度の測定結果を対数スケールグラフで観察すると、Beaconとの距離を、
ごく近く(概ね1m未満)
近く(概ね1m~3m)
遠く(概ね3m以遠)
の3段階で判定できることがわかります。iOS Core Location Frameworkでは、この3つがImmediate, Near, Farという状態で表されています。
ただし、Farは必ずしも物理的に「遠い」ことを示しているのではないことに注意が必要です。受信状態によっては十分に近い位置でFarが報告されることがあります。

詳細は、iBeacon for Developersより “Getting Started with iBeacon”をご覧ください。