第1回 「IoT活用による価値創造・前編」
一般社団法人情報通信技術委員会 事務局長
(元 東京大学先端科学技術研究センター 特任教授)

稲田 修一 様

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株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)なるほど!
IoT化とは、これまでの売り切りの商品販売から継続的なサービス提供へと、ビジネスのやり方を変えることにつながるのですね。

このようなサービス化の例は他にもあるのでしょうか?
稲田)日本でも一部の先進企業は、サービス化に挑戦しています。たとえば、建設機械大手のコマツです。コマツは建設機械にさまざまな情報通信技術を導入し、情報化施工を実現しています。情報化施工は、3次元設計データに基づき建設機械が自動的に施工することを意味します。これによって、建設工事の費用と工期が大幅に短縮できるのだそうです。情報化施工は、まさに建設機械の提供から建設施工というサービス提供への転換なのです。
稲田 修一 様
株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)なるほど。
我々は主にコーヒーメーカー、浄水器などの家電分野における売り切り商品販売から、継続的なサービス提供へのお手伝いをしていますが、他にもサービス化の例があることが分かり、嬉しく感じました。
稲田)はい、コマツの例は、世界的に見ても先進事例だと思います。
稲田 修一先生
インタビューの様子

デザイン思考による視点変更と、的確なニーズの掘り当て

株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)稲田先生はデザイン思考の重要性を指摘されていますが、やはり、こうしたIoTによるサービス化を考える際には、デザイン思考のような考え方が必要になるのでしょうか?
稲田)IoTとデザイン思考は相性が良いと考えています。デザイン思考の特徴の一つは、徹底的に顧客の立場でそのエクスペリエンスを磨き上げることです。これが顧客価値や市場機会の創出につながるのです。デザイン思考を推進している理由の一つは、「サービス化」という今までにない価値の発見を促進したいからなのです。

現在は変革期です。社会が変わる中でいろいろな価値が生まれています。デザイン思考のアプローチは、いままでの技術や発想の延長線上で価値を考えるのではなく、
さまざまな観察から根源的なニーズを探ることなのです。例えば、建設工事の現場をじっくりと観察していると、いろいろなことが分かります。作業員の高齢化が進展しているとか、人手不足で工事がなかなか進まないなどの課題があることが分かります。これを解決する手段の一つが情報化施工なのです。また、高齢者は足腰が弱り、重たいものを担ぐことが困難になります。これをアシストするパワードスーツにも大きな需要があるだろうと思います。
稲田 修一先生
株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)こうした根源的なニーズをどう社会に取り込むのでしょうか?
稲田)最近では、アイデアの有用性を実証するためのプロトタイピング制作が容易化しています。ハードでは3Dプリンタがありますし、ソフトではオープンソースもあるので、昔と比べるとコンセプトの検証(PoC:Proof of Concept)が格段に楽になっています。検証コストも大幅に安くなっています。PoCで試してみて、お客さまの反応を観察し改善を繰り返す。
プロトタイピングとその評価を繰り返すことで短期間にプロダクトやサービスを作り上げるのです。このようなプロセスをさまざまなプレイヤーが試みる中で、根源的なニーズが次第に満たされ、あわせて社会の変革も進んでいくのだと考えています。
稲田 修一先生

次回予告

インタビューの様子

引き続き、「IoT活用による価値創造」と題し、稲田 修一 様のインタビュー【後編】を掲載予定です。次回もぜひお読みください。

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株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)なるほど!
IoT化とは、これまでの売り切りの商品販売から継続的なサービス提供へと、ビジネスのやり方を変えることにつながるのですね。

このようなサービス化の例は他にもあるのでしょうか?
稲田 修一 様
稲田)日本でも一部の先進企業は、サービス化に挑戦しています。たとえば、建設機械大手のコマツです。コマツは建設機械にさまざまな情報通信技術を導入し、情報化施工を実現しています。情報化施工は、3次元設計データに基づき建設機械が自動的に施工することを意味します。これによって、建設工事の費用と工期が大幅に短縮できるのだそうです。情報化施工は、まさに建設機械の提供から建設施工というサービス提供への転換なのです。
株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)なるほど。
我々は主にコーヒーメーカー、浄水器などの家電分野における売り切り商品販売から、継続的なサービス提供へのお手伝いをしていますが、他にもサービス化の例があることが分かり、嬉しく感じました。
稲田 修一先生
稲田)はい、コマツの例は、世界的に見ても先進事例だと思います。
インタビューの様子

デザイン思考による視点変更と、的確なニーズの掘り当て

株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)稲田先生はデザイン思考の重要性を指摘されていますが、やはり、こうしたIoTによるサービス化を考える際には、デザイン思考のような考え方が必要になるのでしょうか?
稲田 修一先生
稲田)IoTとデザイン思考は相性が良いと考えています。デザイン思考の特徴の一つは、徹底的に顧客の立場でそのエクスペリエンスを磨き上げることです。これが顧客価値や市場機会の創出につながるのです。デザイン思考を推進している理由の一つは、「サービス化」という今までにない価値の発見を促進したいからなのです。

現在は変革期です。社会が変わる中でいろいろな価値が生まれています。デザイン思考のアプローチは、いままでの技術や発想の延長線上で価値を考えるのではなく、
さまざまな観察から根源的なニーズを探ることなのです。例えば、建設工事の現場をじっくりと観察していると、いろいろなことが分かります。作業員の高齢化が進展しているとか、人手不足で工事がなかなか進まないなどの課題があることが分かります。これを解決する手段の一つが情報化施工なのです。また、高齢者は足腰が弱り、重たいものを担ぐことが困難になります。これをアシストするパワードスーツにも大きな需要があるだろうと思います。
株式会社アプリックス代表取締役社長 長橋 賢吾
長橋)こうした根源的なニーズをどう社会に取り込むのでしょうか?
稲田 修一先生
稲田)最近では、アイデアの有用性を実証するためのプロトタイピング制作が容易化しています。ハードでは3Dプリンタがありますし、ソフトではオープンソースもあるので、昔と比べるとコンセプトの検証(PoC:Proof of Concept)が格段に楽になっています。検証コストも大幅に安くなっています。PoCで試してみて、お客さまの反応を観察し改善を繰り返す。
プロトタイピングとその評価を繰り返すことで短期間にプロダクトやサービスを作り上げるのです。このようなプロセスをさまざまなプレイヤーが試みる中で、根源的なニーズが次第に満たされ、あわせて社会の変革も進んでいくのだと考えています。

次回予告

インタビューの様子

引き続き、「IoT活用による価値創造」と題し、稲田 修一 様のインタビュー【後編】を掲載予定です。次回もぜひお読みください。

INTERVIEWER | インタビュアー紹介

株式会社アプリックス 代表取締役社長 長橋 賢吾

長橋 賢吾(ながはし けんご)
株式会社アプリックス代表取締役 兼 取締役社長。

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