Beacon用のBluetooth® Smart(Bluetooth® Low Energy)通信方式に関して

Bluetooth® Low Energyの通信方式には、非接続型で双方向通信をサポートしない方式(Broadcaster/Observer)と接続型で双方向通信をサポートする方式(Peripheral/Central)の2つがあります。ここでは、Beaconでどちらの通信方式を用いるかという点について概説します。

Broadcaster/Observer用通信方式

Beacon に Broadcaster/Observer用通信方式を採用した場合は、1つのBeaconから少量のデータを同時に複数の端末に送信することが可能であり、端末のほうも複数のBeaconから様々な少量のデータを受信することができます。しかし、Beaconと端末が接続してデータをやり取りするなどの双方向通信はできません。

Peripheral/Central用通信方式

Beacon にPeripheral/Central用の通信方式を採用した場合も、一つのBeaconから同時に複数の端末にデー タを送信する事が可能です。また端末の方も複数のBeaconからデータを受信することが可能です。さらに Beacon と端末が接続してデータをやり取りする双方向通信も可能です。
この通信方式の場合、端末が Beacon からの電波を受けると、自動的に短時間少量のデータのやり取りを行うという特徴があります。

2つの通信方式の比較

下記測定データ例は、Broadcaster/Observer通信方式とPeripheral/Central通信方式のBeaconを試作し、それぞれの動作時の消費電流を測定器でキャプチャーしたものです。 左図に示すように、Broadcasterとして動作するBeaconでは、Bluetooth® Low Energyの規格で割り当てられたadvertise用の3つのchannel (37, 38, 39)にそれぞれデータを送信(ADV_NONCONN_IND)しており、これに対応する電流消費が3つの矩形として表れています。
一方、右図に示すように、Peripheralとして動作するBeaconでは、同様にadvertiseの送信(ADV_IND)を行いますが、各channelへのadvertiseの送信直後に短時間の接続型双方向通信の受信(SCA_REQ)-2つ目の矩形波-、とそれに対する送信(SCAN_RSP)- 3つ目の矩形波 - が発生しています。従って、電流消費はadvertiseに対応する広めの矩形の後に双方向通信に対応する狭めの矩形2つが伴う3つ組が3 channel分、計9つの矩形が表れています。

上記からわかるように、Peripheral/Central通信方式はBroadcaster/Observer通信方式に比べて受信端末の負荷は非常に高くなります。
また、Beaconの周囲に複数の受信端末がある場合、ある受信端末がこの短時間の接続を行っている間、Beaconからのadvertiseは行なわれませんので、他の端末はBeaconデータを受信できません。このため、BeaconがPeripheralとして動作するとBroadcasterとして動作する場合に比べて相対的にBeaconデータの受信頻度が下がる懸念もあります。
従って、Beaconデータの送信(advertise)はBroadcasterとして行うのが適切です。

MyBeaconシリーズでは、Beacon情報のadvertiseはBroadcasterとして行い、設定アプリケーションからの設定変更や成りすまし防止のための電子認証はPeripheralとして行っています。